【支援金合計 $24,000】
1)JSCシソポンのプロジェクト1~5への支援費 合計$23,000
2)子どもの家 $1,000
今年は3年振りにスタッフツアーを行いシソポンを訪問し、イエズス会サービスカンボジア(以下JSC)シソポン事務所のスタッフと再会できました。
スタッフは、責任者ハムソックさん、総務ビチェカさん、開発支援担当バートさん、教育支援担当キムさん、車椅子担当リュ―さんのおなじみの5人が温かく迎えて下さり、2021年、2022年の支援先を案内して下さいました。
支援内容は、例年と同様、貧困家庭への開発支援、教育支援、車椅子支援が中心です。変わっていたのは、重点支援先がボストン村からバラン村に変わっていた点です。
ボストン村はこの数年間、学校の支援、少額ローンなど様々な支援をし、3年前2020年2月のツアーでは感謝状もいただいた村です。今回は、より支援が必要な村に変更したのでしょう。
私たちが訪問できなかったこの3年の間、新型コロナウィルスはシソポンでも猛威を振るい、学校の休校をはじめ、ロックダウンによりタイへの出稼ぎ禁止など、社会も停滞がみられました。JSCシソポン事務所のほとんどのスタッフも感染したものの、支援の手を止めることなく、生活が困窮している人たちを訪問し、各支援活動(プロジェクト)を続けてこられてきたとのことです。
ツアーの2023年2月にはシソポンの町も村もすっかり賑わいを取り戻していました。
各国からのJSCへの支援が減少する中で、かんぼれんからの継続した支援を現地スタッフは心から感謝していました。
1.「再会の喜び」
3年ぶりに、カンボジアに行くことができました。
今回は、コロナ禍の状況がまだ完全に安心できるものではなかったので、スタッフツアーとして川地さん、村上さん夫妻と私の4人だけで、昨年の支援プロジェクトの人々に会うことを中心にしました。
そして、例年より期間を短くしましたが、支援を受けた15以上の家族、大人や子どもに会うことができて、かんぼれんの発足から20周年にあたる今年の訪問は非常に充実したものでした。
訪れたいくつかのプロジェクト、その人々を簡単に紹介します。
① 自立して生活できるよう、牛や豚を飼い、あるいは野菜や果物の栽培を始めるための補助金を受けた貧しい家族。
② 急に歩けなくなり、車椅子が必要となった81歳のおばあさんと、障害を背負いながらとても明るかった14歳の男の子。
③ 親は出稼ぎに行っていても貧しく、身体的な発達障害があり、教材などの学用品の支援を受けている女の子。
④ 家が遠くて自転車を使っても通学できないので、空き教室に共同で宿泊し、食糧の支援を受けている中学生たち。
活動の新たな困難
今回の訪問は、とても充実していて、イエズス会サービスカンボジア(JSC)のスタッフの皆さんの活動に関する誇りとその喜びが再度伝わってきました。しかし同時に、彼らがぶつかっている新たな困難についても聞きました。
それは、NGO活動に対する政府のコントロールが厳しくなったということです。
まず、NGOの支援はすべて、完全に無償でなければならないという決まりです。
それによって、産まれた子牛2頭を利息としてJSCに返却する形の「牛銀行」のやり方を変えなければなりません。また、自立のための少額のローンも、返済を求めるのでできなくなります。
さらに、毎月、活動の内容とその会計についての報告書を政府の機関に提出しなければならないので、事務的な仕事がだいぶ増えてしまいます。
他のグループからの支援が減ったこともあって、私たちの、精神的と金銭的な支えはますます重要となります。
今回、私たちが出会った人々の顔、支援を受けた人々とJSCのスタッフのメンバーの顔を、忘れることができません。
かんぼれんの皆さんに、何とかして伝えることができればと、強く願っています。皆さんと一緒に、かんぼれんの発足21年目からも支援を続ける、と新たな決心をしたいと思います。
かんぼれん代表 ボネット ビセンテ
2023年6月ニュースレター第39号 巻頭言より
2.開発支援
障がい者、貧しい家族のための家 1軒
Luk Pheapさん(49歳)は、妻、子ども3人とBoeung Khtom村で暮らしています。
以前は生活が苦しいため、15年間Lukさんの姉の草ぶきの家に同居させてもらっていました。夫婦は農場でゴマの実や豆を収穫したり、水田で除草をして働いていましたが、日当は20,000リアル(5ドル)。家族を養うには十分ではなく、自分の家を持つ余裕はありませんでした。
貧しくとも、誠実で勤勉で、また近隣の人を手伝うなど村のために尽力するLukさんを見てきた村長が、JSCにLukさん家族のために家を支援を願い出てくれました。
現在、しっかりした新しい家を得て、Lukさん家族の生活は大きく改善しました。
2ヘクタールの水田から5トンの米を収穫できるようになり、資金援助を得て牛を2頭飼育しています。
そして、時間のある時には、外に働きに出て収入を得て、子どもちを学校に通わせることもできるようになり、明るい将来が見えてきました。
牛銀行 2家族
マレイ地区バラン村の農家2家族に牛を貸与しました。
障がい者、貧しい家族のための少額ローン 10家族
10家族にそれぞれ$250支援をしました。8家族は豚を飼育し、1家族はニワトリを飼育、機械修理の仕事をしている1家族は機械の部品購入にあてました。
Khut Nakryさん(56歳)は、夫と子ども3人とマレイ地区のTumnobneary村に暮らしています。
農家でアヒルを飼っていましたが、病気治療中の夫の薬代や、子どもの学校の費用など、Khutさんが一人で生計を支えることは大変困難でした。
彼女は、夫の看病や子どもたちの世話をしながら自宅でできそうな養豚に関心を持ちましたが、養豚を始めるにもお金がありませんでした。
2021年12月に村でJSCの家畜育成の講習会にKhuthさんは参加し、JSCで低所得の家族(何か新しいことを始めようという人)向けに、無利子で1年間お金を貸付するプロジェクトのことを知りました。
翌月の2022年1月にJSCスタッフがKhutさん家族を訪問、貧困状況を確認し、その場で彼女は養豚を始めたい旨を訴えました。
その結果、JSCはKhuthさん家族に養豚を始める資金100万リエル(250ドル)のローン提供を決め、彼女はこの資金で3頭の若い豚を購入。飼育を始め3ヶ月半後、育った豚を700万リエル(1,700ドル)で売ることができました。
また、他の豚からは子豚が6頭生れ、それらを売って150万リアル(375ドル)の収入を得ました。2023年1月には次の子豚が生まれます。
JSCからローンを受けることでkhutさん家族の暮らしは大きく改善しました。現在、彼女はローンを返済し、安定した養豚が出来るようになっています。
家庭菜園を始める支援 10家族
家庭菜園を始める家族に必要なバケツや水やり用具、野菜の種などを支給しました。
Maさん(39歳)は、妻と子ども3人とバラン村で暮らしています。
2007年に結婚し、生活費を稼ぐために夫婦で7年間タイに出稼ぎに行っていました。
2015年に故郷に戻り、農地で働き続けましたが、自分達が食べる分くらいしか収穫がありませんでした。
2018年にMaさんはFacebookで牛の飼育のことを知り、まずは2頭を買って飼育してみたところ、順調に育ったため、更に3頭を買い足し飼育することにしました。
その後、MaさんはJSCの家庭菜園プログラムに興味をもち、村長さんにJSCに自分を推薦してくれるように頼みました。JSCシソポン事務所のスタッフがMaさん宅を訪問し、家族状況や菜園を始めるために農地があることなどを確認しました。
その結果、2022年4月JSCより菜園を始めるに必要なバケツや水やり用具、野菜の種などが支給され、Maさんは早速、畑を耕し種を植えつけました。
その1ヶ月半後には野菜が順調に生育。家族では食べきれないほど収穫があり、余った分は売ることもできるようになりました。
教育支援
事例にあがっている子どもたちは、マレイ地区など、JSCシソポン事務所が現在貧困をなくすように集中して支援している地区の子どもたちです。
学用品支援 30人
小学校3年生~高校生まで30人の子どもたちに学用品(通学用バッグ、教材、文房具など支援パック)を支援しました。
Daさん(16歳)中学3年生は、農家の両親、3人の姉と、マレイ地区クチュイ村で暮らしています。
Daさんは、真面目で友人関係もよく、家では家事を手伝い、それが終ると宿題をするような子です。経済的に厳しい家庭ですが、学校の先生を目指す彼女は学校をやめることを考えたことがありません。
2022年10月、JSCは高校進学が決まったDaさんに学用品パックを支給しました。
このパックには通学用カバン、制服、本、赤黒のペン、鉛筆、定規、消しゴム、筆箱、はさみ、歯磨き粉と歯ブラシが入っています。
このパックは、Daさんの励みになるだけでなく、両親の進学準備の負担をも軽くしてくれました。
奨学金支援 40人
2022年は40人に奨学金の支援をしました。
内訳は、小学生4人、中学生28人、高校生7人、大学1年生1人です。
Samonさん(16歳)は中学3年生で、マレイ地区バラン村に住んでいます。
家族は農家の両親と3人兄妹、祖母ですが、両親は子どもたちと病気の祖母を養い、学費を稼ぐために、国境を越えてタイに働きに出ていました。
ところが、新型コロナが蔓延すると両親のタイでの仕事が無くなり、子どもたちの食費や学費を賄うことができなくなりました。
そのため、Samon君は学校を辞めて仕事を始めたいと希望しましたが、祖母と学校の先生が、将来を考え学校を辞めいように励ましました。
また、校長先生が、Samon君が学校で学び続けられるように、JSCに奨学金支給を依頼をしてくれました。
2021年5月にJSCシソポンスタッフがSamon君家族を訪ね、家庭の状況と、また彼が学業に励んでいることを確認し、彼に毎月70,000リアル(17.50ドル)の奨学金を支給することが決まりました。
Samon君は2022年も奨学金を得て、国を代表するサッカー選手になることを夢みて学業に真剣に取り組みんでいます。彼は自分の家族が困難な時に助けてもらったことをとても感謝しています。
お米による奨学金 25人
家庭の状況によってお米による奨学金をします。
通学用自転車 15人
2022年は自宅から学校まで2km~6kmある小学生から高校生の子どもたち15人に通学用の自転車を提供しました(1台 $50)。
学校内で暮らす生徒への食費支援
Toulpongro中学校 | 男子生徒11人 女子生徒4人 |
Takuong高校 | 男子生徒4人 |
中学生になると、多くの子どもたちが自宅から中学校までが遠くなりますが、通学が困難で、経済的に困窮した家庭の子どもたちの中には、平日は学校の空き教室に自炊しながら寝泊まりし、寮のように共同生活をしている子たちがいます。
その子どもたちに米と調味料を支援しました。
自宅から遠く離れた中学校の空き教室を寄宿舎として、勉強を続ける中学生15人に会った。
私たちは米や調味料を支援している。だが、おかずは自前で用意するらしく、裏の川で釣ったという小さな魚が数匹干してあるのを見ると胸が痛んだ。それでも中学生たちは自宅を離れてともに勉強するのが楽しそうだった。裕福な都会で学校に通うのが当たり前の人には、この悪条件で勉学を続ける生徒たちの気持はわからないだろう。
この地域の貧しい家庭では子どもが学校をやめて働きに出るのが普通だが、わが子にはなんとか中学校を卒業させてから一家の働き手になってほしいという家族の望みを託された校長から依頼されて、スタッフが奔走する。
この中学生たちは一家の、そして地域の希望の星なのだ。かんぼれんの支援が夢の実現に役立っているのを見て心がはずんだ。<2023年6月ニュースレター第39号より>
運動用具の支援 8学校
学校にサッカーボールやバレーボールを寄贈しました。現在、カンボジアではサッカーが大人気だそうです。
2023年2月のツアーでは、クチュイ小学校に寄贈したサッカーボールではだしで駆け回って楽しむ子どもたちに会えました。
3. 車椅子支援
車椅子の提供 13人
新たに車椅子を7 人、三輪車椅子を6人に提供しました。
車椅子の点検・修理
2022年も78台の車椅子修理費用を支援しました。
JSCスタッフは、新たに車椅子を必要とする人だけでなく、以前支援をした人々を4ヵ月毎に訪問し、それぞれの様子を聞き、必要に応じて車椅子の修理や、新たな車椅子に交換するなど、きめ細やかなフォローアップをしています。
修理で対応ができなくなると、上記写真のRavyさんのように新しい車椅子に交換をしています。
セラさん(18 歳)は高校1年生で、祖父と弟二人とマレイ地区のChrai村で暮らしています。
家族は両親、弟妹4人ですが、母親が身体が不自由で、2番目の妹を除いた兄妹4人に母親と同じ遺伝性の病気があります。
父親は、トラクターの運転手として働いていますが、父の収入だけでは生活が厳しいため、同じ地区に住む祖父がセラさん兄弟3人を引き取り、学校に通わせてくれています。
彼は幼い頃には歩いたり、重い物を持ったり、学校にも自力で通学ができていましたが、15歳になると脚が弱くなり長い距離を歩けなくなりました。
祖父がSelaさんをバタンバンのNGO病院で診てもらったところ、Selaさんには母と同じ遺伝性の病気があり、治療ができないことが分かりました。
そこで、祖父はJSCにセラさんが家の周囲の移動や通学ができるよう車椅子の支援を依頼したのです。
現在、Seiaさんは車椅子で毎日登校できるようになり、勉強に励んでいます。また、祖父と暮らす家では、弟たちの勉強をみたり、祖父が忙しい時にはニワトリやアヒルの世話も手伝っています。
5. 健康支援
お米の緊急支援 50kg×15家族
コロナ禍の2022年も障がい者と高齢の生活困窮家庭に米の緊急支援をしました。
マオさん(67歳)は夫(86歳)と中学生の孫とマレイ地区のTomnobeary村で暮らしています。
孫の両親は離婚して、現在行方不明。Maoさん夫婦がは孫娘を養育し、中学校にも通わせてきました。
Maoさんには障がいがあり、Maoさん夫婦は高齢で収入がないため大変生活が苦しく、近所の人が食べ物や水を、また、近くのBalangパゴダがお米を支援しています。
家のお米が無くなると夫がパゴダに行ってお坊さんに米の支援を頼んでいました。
マオさんがお元気だった頃は、別の村で暮らし、毎日野ブドウを10kg収穫して自転車で8km先のTomnobeary村で売ることで一日20,000リアル(5ドル)の収入があったそうです。
ところが、2014年5月に自転車で転落して障がいを負い、現在の村に引越して来て、知り合いの家の裏地の小屋に住まわせてもらっています。
マオさんの困難な状況を知り、JSCは2021年に車椅子と米50kgを、そして2022年には米50㎏と、孫娘に米の奨学金と学用品の支援をしました。これらの支援によりMaoさん家族の生活は改善しました。
マオさん夫婦は自分たちの亡き後の孫の行く末を心配し、JSCに孫の今後の支援を頼んでいます。
6. Light of Mercy Home 子どもの家
2022年も$1000を支援しました。
子どもの家は、プノンペンにあるイエズス会サービスカンボジアが運営する障がいのある子どもたちの施設で、障がいがあり、何らかの理由で自宅を離れた子どもたちが暮らしています(2021年現在、男女各16人、合計32人、スタッフ4人)。
視覚障がい、聴覚障がいが半数以上、その他の障がいがある子どもたちもいます。
子どもたちは平日は学校に通い、週末には子どもの家でクメール舞踊、楽器の演奏、英語などのレッスンを受けています(詳しくは2021年支援へ)。