2024年の支援報告

2025年7月3日
2024年支援報告は、3回に分けて更新を予定しています。
次の更新は9月23日(祝)報告会後を予定しています。またぜひ見てください!

昨年度からのNGOに一切の収益事業を禁じる政府の方針は今年も変わらず、牛銀行や農家への少額ローンは全く行なえていません。
一方で家庭菜園を始めるためのネットなどの道具を支援することは一定の成果が見られ、小規模ながら安定した収入と日毎の糧となっていました。支援に頼り切るのではなく、自分たちの力で生活できているという親の自信は、その子どもたちの笑顔にまで影響しています。

予算全体としては貧しい人のための家のような開発支援の項目が無くなり、教育の比重が大きくなってきました。特に重要度が増している環境教育の予算が増えています。

JSCシソポン支部が働くフィールドは広大ですが、昨年度と変わらず教育担当のキムさん、車椅子担当のリューさん、そして責任者のビチェカさんの3人で楽しそうに働いています。それぞれが支援先の子ども達や家族と信頼関係を築き、頼りにされていることが訪問した際に実感できました。

「地雷被害者及び貧困者支援」はこの年に地雷などで職を失い、稼ぐことができなくなった方への臨時支援ですが、今年も必要とされています。いずれこの予算項目がなくなることを祈っています。

【2024年支援一覧】

1)JSCシソポン事務所のプロジェクトへの支援 $20,000
2)Light of Mercy Home 子どもの家 $1,000

JSCシソポン事務所のプロジェクトへの支援内容の内訳

  1. 教育支援 $14,378.5
    • 通学用自転車 20人
    • 障がい者、貧しい家の児童・生徒への奨学金 30人
    • 障がい者、貧しい家の児童・生徒へのお米による奨学金 25人
    • 学用品(文房具、教材など) 30人
    • 学生と教師への食糧支援 45人
    • 奨学生の研修旅行費 45人
    • 都市部で学ぶ学生の引っ越し費用 10人
    • 環境教育プログラム/スローガン 9校
    • 植樹とその管理 2校
    • 初期保健教育 8 校
    • 図書館用の本 8 校
    • 学生のための家賃 12ヶ月分
  2. 車椅子支援 $3,790
    • 新しい車椅子 16人
    • 三輪車椅子・特殊な車いす 4人
    • 障がい者のための松葉杖の支援 2人
    • 車椅子の修理 89台
  3. 健康支援 $1,170
    • 地雷被害者および貧困者支援 1人 
    • お米の緊急支援 50㎏×20家族
    • 障がい者のための家庭用野菜菜園 5家族
  4. JSC活動経費支援 $661.5

カンボジアスタディーツアー ~ 何のためか? ~

2003年のスタディーツアーで、イエズス会サービスカンボジア(JSC)のシソポン事務所を訪れ、はじめてそこで行われていた支援活動の説明を聞き、その資料や細かい報告書を見ました。その結果、参加者全員で、シソポンでの活動に協力することを決めました。それで、かんぼれん(カンボジアの友と連帯する会)が生まれたのです。

連帯する

2025年2月JSCシソポンのスタッフとともに

かんぼれんのめざすこととしては、支援や協力などにとどまらず、「連帯する」という言葉を選びました。
それは、「少しでもカンボジアの友の状況を知るようにすること」をめざして、そのために、「毎年カンボジアへのスタディーツアーを行うこと」にしたのです。

かんぼれんが連帯しようとする「カンボジアの友」とは、言うまでもなく、障がいを背負いながら貧しくて、車椅子を買えない人々、支援がないと学校へ行くための自転車や制服、教材などの通学用品を買えない貧しい家族の子どもたち、そして、事故や入院など、緊急の支援を必要としている最も貧しい人々です。

また、以上のような支援の必要性を確認し、予算を立て、実際に支援活動を行うJSCシソポンとプノンペンの子どもの家のスタッフの皆さんも同じく、かんぼれんが連帯し、共に協力し続けていきたい、掛け替えのない「友」です。

そして、JSCとその他のカンボジアにおけるイエズス会の責任者も、かんぼれんの連帯する「友」です。彼らは、シソポンの活動を支え、いつもわたしたちの訪問の準備に協力し、快く迎えてくれます。

カンボジアスタディーツアー

このように、単なる金銭的支援をするだけではなく、その支援を受ける人々と連帯するため、毎年のスタディーツアーで、彼らの幾人かに会いに行きます。
訪問するプロジェクトの幾つか(自転車、車椅子など)が同じようなものでも、支援を受ける人間、その状況とストーリーは違います。彼らとの「連帯」を求めて、少しでもそのストーリーを知りたいのです。

さらに、この人々はなぜ貧しいのか、どうして今でも新たに地雷の被害者がいるのか、ということなどを知るため、カンボジアの歴史、特にポル・ポトの時代とその結果、そして文化や宗教に関するところを訪れます。

これは、カンボジアの友と連帯を深めるために、かんぼれんのスタディーツアーの第一の目的です。

ニュースレター43号巻頭言より
かんぼれん代表 ボネット ビセンテ

トゥール・スレン虐殺博物館とキリング・フィールド

今年、初めてスタディーツアーに参加した。支援先の視察や現地スタッフとの交流、地雷被害や除去の実情に触れる中で数多くの学びがあった。
なかでも深く印象に残ったのは、トゥール・スレン虐殺博物館(TS)とキリング・フィールド(KF)への訪問だった。

これらの施設は、1975-79年のポル・ポト政権下で数多くの人々が命を奪われた過去を今に伝えている。内戦の過程で敷設された地雷は、その終結後も人々の生活に深刻な影響を及ぼしており、現在も地雷被害が残る地域の1つがシソポンである。

かんぼれんがシソポンで支援活動を続けている背景には、こうした歴史的経緯もあり、今回のツアーを通じて支援の原点ともいえるカンボジアの過去に触れることができた。
以下、2つの施設で感じた歴史の一端を紹介する。

トゥール・スレン虐殺博物館

プノンペン市内にあるTSは、高校だった建物が収容所として転用されており、内戦時に多くの市民に尋問・拷問が行われた場所である。
施設内にはいくつか見学できる建物があり、尋問が行われていた部屋や拷問道具、収容者の顔写真などが展示されていた。

その中で印象的だったものとして、最初の建物では拷問に使われたベッドや、実際に括り付けられている収容者の写真が展示されており、その生々しさに言葉を失った。

また、別の建物には極めて狭い独房がびっしり並んでおり(上写真)、実際に中に入ってみることができるが、そこに閉じ込められていた人々の苦しみや絶望が伝わってきた。
短時間の見学だったが、この場所が持つ歴史の重みは深く心に刻まれた。

キリング・フィールド

キリングフィールド 慰霊塔

TS見学後に訪れたKFは、内戦中に全国で約300カ所存在した処刑場の総称である。TSなどで尋問を受けた囚人が送られた最終地であり、今回訪ねたKFはそのうちの1つである。

敷地内には、遺骨やそれらが埋められていた場所などが展示されていた。特に目を引くのは、敷地中央に静かに佇んでいるガラス張りの慰霊塔で、中には犠牲者の頭蓋骨がびっしりと納められていた(上写真)。

私たちはボネット先生とともに、犠牲者と加害者の両方へ祈りを捧げた。
処刑する側も命令に逆らえば処刑対象となる状況であり、加害者であると同時に被害者でもあったと思うと、それぞれの立場にあった苦しみや恐怖を想像し、ただ静かに祈るしかなかった。

キリングツリー

さらに、キリング・ツリーと呼ばれる大木では(上写真)、幼い命が残酷に奪われていたという。
この場所で起きた非人道的な事実を前に、同じことを繰り返してはならないという思いを強くした。

これらの施設見学の後にシソポンでの支援先を訪ねて、地雷で障がいを負った方や、元ポル・ポト派の兵士だった方にお会いすると、これらの施設で知ったことは遠い昔の歴史などではなく、実際にごく最近に起こった出来事であったことを改めて実感させられた。

同時に、かんぼれんによる子どもの教育支援や車椅子の提供が、現地の生活に確かに役立っている様子に触れ、支援が未来を創る力となっていることに希望を感じた。

教育支援

*今後更新予定

■通学用自転車 20人・
■障がい者、貧しい家の児童・生徒への奨学金 30人
■障がい者、貧しい家の児童・生徒へのお米による奨学金 25人
■学用品(文房具、教材など) 30人
■学生と教師への食糧支援 45人
■奨学生の研修旅行費 45人
■都市部で学ぶ学生の引っ越し費用 10人
■環境教育プログラム/スローガン 9校
■植樹とその管理 2校
■初期保健教育 8 校
■図書館用の本 8 校
■学生のための家賃 12ヶ月分

車椅子支援

*今後更新予定

■新しい車椅子 16人
■三輪車椅子・特殊な車いす 4人
■障がい者のための松葉杖の支援 2人
■車椅子の修理 89台

JSCシソポン事務所スタッフによる車椅子修理

Light of Mercy Home 子どもの家

2011年からは、プノンペンにある障がいのある子どもの家へも支援(毎年$1,000)をしています。
子どもの家は視覚障がい、聴覚障がいをはじめ、何らかの障がいがあり、何らかの理由で自宅を離れた子どもたちが暮らす施設です。

障がいの種類によって各学校に通学する、交通費や教育費に充てられています。
毎年スタディツアーで訪れると、子どもたちが日ごろ練習をしているダンスや音楽の演奏などで大歓迎してくれます。

子どもの家について、詳しくは2011年支援報告2021年支援報告へ↓

2025年9月23日(祝日)
13:00~15:00
会場:イグナチオ教会 1F ヨセフホール
参加費:中学生以上500円
会員の方の申し込み(締め切り):8月31日

会員以外の方も、かんぼれんの活動のご興味のある方はぜひお待ちしております!
詳しくは事務局までお問い合わせください。

2025年7月3日更新
2024年支援報告は、3回に分けて更新を予定しています。
次の更新は9月23日(祝)報告会後を予定しています。また見てください!

2004年~2023年の支援報告や報告会動画もぜひご覧ください!

かんぼれんを支えてくださる皆様のおかげカンボジアのシソポンの人たち、子どもたちへの支援を続けることができ心より感謝申し上げます。
今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。