2007年はイエズス会サービスカンボジア(以下JSC)シソポン事務所のプロジェクトの中から、牛銀行、車いす、井戸、学習センター、移動図書館などに支援をしました。
2008年5月のスタディーツアーでは、支援先のいくつかに訪問し、話を聞いてきました。
JSCシソポン事務所では、スタッフが地域の人々の状況や希望に合わせ、ご本人に出来ることをしてもらいながら支援の計画を立てプロジェクトを実施し、その後のアフターケアまで丁寧にされています。
JSCのプロジェクトには2つのタイプがある
①継続的に行っているもの:牛銀行、車いすなど
②臨時のもの:ため池など
臨時のものは予算がある時のみ実施しているとのこと。
現在、優先しているものは「教育」のプロジェクトとのことでした。
1. 開発支援
牛銀行 Cow Bank 5家族
地雷事故で障がいを負った貧しい家庭の世帯主5人に牛を1頭ずつ貸し出しました。借りた人は牛を家族同様に大切に世話をしています。
2006年にも5頭(5家族)を支援しており、貸し出した牛は皆1頭ずつ子牛を産みました。
1番目と3番目に生まれた子牛は利子としてJSCに返されます。その返された牛が次の支援先に届けられることにより、さらに支援する輪を広げていくことができるシステムになっています。
牛銀行とは、JSCがメス牛1頭を貸し出し、借り主はその牛を飼育します。子牛が生まれると、1頭目は銀行の利息返済のようにJSCに返し、2頭目は借り主に、3頭目はJSCに、4頭目以降は貸し出されていたメス牛(親牛)と共に借り主のものになります。
交配するオス牛は借り主が自分で借りて交配させます。
オス牛の持ち主には子牛ができた時に$8(1000円)程度支払われます。地雷で足などに障がいを受けた方にとって、農作業は大変な労働ですが、牛銀行は常に目の届く家の近くで牛を育て、貴重な現金収入を得られるシステムです。借り主が柵を作り子牛を産ませ育てます。
→詳しくは2006年支援へ
井戸 2件
右はJSCシソポンのスタッフ
男性(45歳) は、 1996年地雷で両足膝下を失い、 片足は義足、杖を使用。 JSCが運営する障がい者の職業訓練学校(Center of Dove 鳩センター)で1年間農業と園芸科学ぶ。 現在はレモングラスやマンゴーなどを栽培しています。
ソーンさん(60歳女性)は、地雷により右膝下を失い、義足をつけています。
現在、米の麺を作って生計をたてています(右はJSCシソポンのスタッフ)。
2. 教育支援
Soksan村小学校の学習室建設
昨年、机と椅子(一体型)を52台支援したソクサン村の小学校校舎の隣りに、貧しい子どもたちの補習授業や図書室を充実させるため、小さな学習室(ラーニングセンター)を建設しました。
レンガで基礎を作り、床は鉄筋入りのコンクリート敷きです。
JSCシソポン事務所から渡された報告書には、学習室の建築過程と、出来上がった学習室を使う子どもたちの写真も載せられていました。
2008年2月のスタディツアーでは、ソクサン小学校に訪問し、完成した学習室の様子も見て来ました。
背の高い男性は校長先生、青いデニムの女性は、JSCシソポン事務所の責任者ソクエンさん。
毎年ツアー時は、ソクエンさんの案内で支援先を訪問します。
移動図書館の本購入・運営費
移動図書館には2か月に1回本が届きます。
子どもたちが自分で読むだけでなく、図書館スタッフによる読み聞かせや、子どもたちに物語を作ってもらうことも行っています。
また、年1回物語りのコンテストを行い、15の村から選ばれた作品の中から、JSCシソポンのオフィスで1位~3位までを決めるそうです。標語もあり、「時は金なり」「勉強は学校だけではない」「口は世界を良くすることも、悪くすることもできる!」、みな熱心です。子ども向けだけでなく、大人向けのマガジンもあります。
JSCでは、移動図書館の係りの研修会も各村やJSC事務所等で定期的に行っています。
3. 車椅子支援
車椅子の提供 20人
ポリオや脳性麻痺、高熱等の原因で身体に障がいがあり、歩行が困難なる方(7歳~75歳の20名)に車椅子を提供しました。 カンボジアの車いすは日本の車いすと違い、前輪があり、砂利道やでこぼこ道でも対応できます。 車椅子1台$80(約10,000円)
ベスナさん(26歳)
2歳の頃、高熱で下肢麻痺に(ポリオ)。
JSCが運営する障がい者の職業訓練学校(鳩センター Center of Dove)で1年間縫製を学び、 卒業後、自宅で独立。現在は、ドレスや子どもの制服などの注文を受け、6人家族の生計を担っています。
2008年スタディツアーで訪問した時には、彼女の笑顔は自信であふれていました。