かんぼれんの主たる支援先であるイエズス会サービスカンボジア(以下JSC)シソポン事務所は、2003年の支援開始当初から責任者であったソク エンさんが2016年3月で定年退職されました。
その後任を若いヴィチェカさんが引き継ぎ、今までと変わること無く 7人のスタッフが広い担当地域を駆け回って今まで通りに必要としている人たちへの支援活動をチームワークよく展開しています。
開発支援
物価の高騰と貧富格差
農村の現状
カンボジアは、2011年以降7%前後の経済発展を続けています。市街地には高層の建物が建設され、道路は整備され、走る車のレベルも上がり、街並みは見違えるようになりました。
その一方で、国の経済発展に伴って物価が高騰している、という現実があります。
2004年、かんぼれんが最初に支援した家の値段は1軒450ドルでした。同じような家が今は1350ドルになっています。牛銀行のための牛は1頭350ドルから700ドルに、車椅子は80ドルから110ドル、中古自転車は35ドルから50ドルに上がっています。
自分の畑を持たない人は他人の畑に働きに出るのですが、一日の畑仕事で得られるのは5ドルです。物価が高騰する中で彼らの収入はさほど上がっていないので、なかなか古くなって壊れた家を建て替えたり、家にトイレを作ったりする余裕は生まれません。持てる人と持たざる人の貧富のギャップは広がっているように思えます。 まだまだ支援を必要としている多くの人がいる、というのが地方の村々の現状です 。
障がい者のための家
Hoeunさん(43歳)
左足の膝から下を失っています。12人の子どもと小さな家で暮らしていたため、新しい家を提供しました。
貧しい家族のための家
孫と暮らしている59歳の女性
娘二人が子どもをおいてタイに行ってしまったため、4人の孫を育てています。家が壊れて途方にくれていたのをJSCが知り、新しい家を提供しました。スタディーツアーで訪れた時、涙を流してかんぼれんに感謝されていました。
地雷事故で視力を失った元クメール兵士にトイレを支援しました。それまでは裏の畑で用を足していたそうです。
教育支援
低い進学率と教育支援
JSCでは当初、地雷事故の被害者を中心にして車椅子の提供、家やトイレ、井戸のサポートなど生活支援を中心に活動をしていましたが、この数年間は教育支援に力をいれています。なぜなら、子どもたちの教育レベルを上げることが将来の生活改善につながる、と考えたからです。
しかし、今でも貧しい家庭では、子どもが成長し働けるようになると、小学校をやめさせて働きに出す家が多いようです。中学校の進学率はカンボジア全体でも20%未満、貧しい農村では一桁台のようです。
JSCでは、勉強を続けたい子どもたちの希望を叶えられるように、様々な教育支援を行っています。
制服、カバン、文房具などの学用品の支援、子どもの労働力に代わるお米の提供、あるいは成績優秀な生徒には奨学金を支援しています。
支援している子どものところには毎月JSCのスタッフが訪問して勉強の進捗度合いを確かめています。
今でも学校を訪れると、低学年の人数は多いけれども高学年になると人数が少ないように感じられます。かんぼれんが支援することで、限られた人数ではありますが子どもたちが勉強を続けられています。
奨学金
女子中学生
小さいときに両親が亡くなり、祖父母と暮らしています。奨学生には毎月、JSCのスタッフが訪問し、勉強の進捗度合いを確認して、奨学金を手渡しています。
通学用自転車 30台
通学用自転車を提供した中学生の子どもたち。自宅から中学校までは5km~10km。
スタディーツアー時に聞いた子どもたちの将来の夢は「医者」と「教師」が多かったです。
図書室への本の提供
小学校の図書室には本を贈りました。
スタディーツアー時に学校に訪問すると、子どもたちは大きな声で音読をしていました。
ラジオ教育プログラム
6番組×4回放送
JSCは数年前から地域のラジオ局を通じて成人に対しての教育プログラムを放送しています。
2016年は「人身売買」「女性の権利」「環境保護」「こどもの日」「薬物乱用に対する戦い」の6つのテーマについて、それぞれ4回放送しました。
例えば「人身売買」では「ブローカーにタイのサトウキビ会社で働けば月に1万バーツ(36,500円)稼げる、と約束されて行ったところ、実際には漁師の仕事で月に1千バーツしか支払われなかった」という被害者のインタビューを放送して人身売買への注意を喚起しました。
番組の聴取者は約650人で毎回の放送に多くの反応が寄せられています。 かんぼれんは放送にかかる費用を支援しています。
Light of Mercy Home 子どもの家
JSCが運営するプノンペンにある障がいのある子どもたちの施設です。
ここでは、身体障がい、視覚障がい、聴覚障がいなど様々な子どもたち30人以上が助け合いながら暮らしています。毎年スタディーツアーで訪れるとカンボジアの伝統舞踊や音楽演奏などで大歓迎してくれます。
毎年スタディーツアーで訪れるとカンボジアの伝統舞踊や音楽の演奏などで大歓迎してくれます。