かんぼれん20年間のまとめ(2003~2022年)

イエズス会サービスカンボジア(以下JSC)と共に「人間を中心とした」活動への支援を行った20年

2003年にスタディーツアー参加者皆で「カンボジアの友を支援しよう!」と、かんぼれんが発足した時、「人間を中心とした」活動への支援をめざすことを確認しました。インフラ等だけではなく、教育・保健・農村開発など、人を大切にする支援でカンボジアの貧しい人、障がいのある人と友になって連帯したいと思いました。そして自らの消費を減らし支援に充てることも基本理念としました(詳しくはかんぼれん成り立ちへ)。

支援先であるシソポン周辺は、タイ国境に近く、ポルポト派が最後に追い詰められていった地域でもあります。カンボジアの中でも取り残されたような貧しい地域で、イエズス会サービス・カンボジア(以下JSC)が熱心に活動していました。

カンボジアの貧しい人びとや、地域のリーダーであるJSCスタッフに出会って、連帯し、彼らの苦悩・喜び・悲しみ・逞しさ・大らかさ・温かさに触れながら、様々なハプニングがあっても、ともに新たな「人間を中心とした」活動・あり方に気づかされ、力づけられています。

かんぼれん支援額(2004~2022年) 総額 383,751ドル

※グラフの数値は年毎の支援総額:米ドル

  • 【2004~2022年の支援 総額383,751ドルの内訳】
  • JSCシソポン事務所のプロジェクト 365,523ドル
  • Light of Mercy Home 子どもの家 18,228ドル

そして、この20年の間JSCシソポン事務所のたくさんのプロジェクトを支え、カンボジアの友と連帯を続けてこられたのは、かんぼれんの支援を続けて下さった皆さまのお陰です。
改めて、心より感謝申し上げます。

2004~2022年の主な支援内容

1. 開発支援

  • 障がい者、貧しい人のための家 新築79軒 
  • トイレ 17件
  • ため池 3件
  • 牛銀行 86頭
  • 障がい者、貧困家庭への少額ローン(農業ローン) 159件

2. 教育支援

  • 小学校校舎 建設  2件
  • 学習センター建設
  • 椅子と机(一体型) 52台
  • 移動図書館の図書支援 93
  • 【奨学金】 計829件
  • ①障がい者、貧困家庭の児童・生徒への奨学金 
  • ②障がい者、貧困家庭の児童・生徒へのお米による奨学金
  • ③学用品(制服、カバン、文房具、教材など)
  • 通学用自転車 322台 など

3. 車椅子支援

  • 車椅子、三輪車椅子
  • 車椅子の修理 

4.Light of Mercy Home 子どもの家

 

1.開発支援

家の支援 新築79軒

2004年、かんぼれんの最初の支援は5,000㌦で13軒の家の建設支援でした(詳しくは2004年支援へ)。
内戦後しばらくたった当時でも、シソポンには家がなかったり、壁もなく茅葺の屋根と床だけの家に住む家族が沢山いました。JSC が地雷で障がいを負った家族や貧しくて家がない家族の状況を調査し、彼らに安全に生活できる住居提供しました。家は高床式で広さ3×4m、家族が多い場合は4×5mサイズです(雨季のあるカンボジアでは、高床式の家を建てます)。

また、JSCの支援を受ける家族は、支援を受けるにあたり、ご本人にいくらかでもお金があれば負担をし、またお金がない場合には労働力を提供するなど、自分たちにできることを求められます。
年々物価が高騰し、今では5,000㌦で新築の家が3軒しか建ちません。

トイレ 17件、ため池 3件

村の家庭や学校にはトイレがなかったため、障がい者のいる家庭や学校にトイレを17件設置をしました。学校では、トイレの使い方を教え、生徒たちに掃除をさせて衛生面の指導をしました。

また、村の共同体で管理使用するため池3件作りました。
現地の地層は、井戸を掘っても飲み水には適さず、雨季に雨水を溜めて、乾季に飲料や農業用に利用していました。当時は、まだ多くの地雷が埋まっていた地域のため、溜池を掘る前には、地雷除去が必要で、必ず地雷や不発弾が出てきました。(⇒詳しくは2005年支援報告2014年支援報告

牛銀行86頭 農業ローン159件

牛銀行は、母牛を提供し、利息の代わりに生まれた子牛の1頭目と3頭目をJSCに返し、それ以外の子牛と母牛は彼らの財産にするシステムで、86頭(家族)に支援しました。

農業ローンは、米や様々な野菜を育てる為に、種やネット等の資材購入資金に充てられる農業ローンです。159件に支援をし、村人の自立支援に大いに貢献してきました。

しかし、カンボジア政府の方針転換で、2023年から少額でもローン形式の支援ができなくなり、JSCでは牛銀行や農業ローンに代わる新たな方法を模索しているところです。

 

2.教育支援

小学校校舎や学習センター建設

かんぼれんでは、JSC や村の依頼を受け、2つの小学校校舎を建設支援しました。

2008年コンクリート製校舎(3教室)

かんぼれん1年分の支援金では足りず、翌2009年にも補填しました(詳しくは2008年支援2009年支援へ)。

2010年 木造校舎(3教室)

洪水から校舎を守るよう盛土をし、校舎脇にはその土を掘ってできた小さな溜池も作りました(⇒詳しくは2010年支援へ)。

教室で使う二人掛け椅子と一体になった頑丈な机を新校舎含め52台提供しました。
なお、小学校は3教室のため、午前と午後の入替制で、6学年が交替で使用しています。

③学習センター建設や移動図書館の充実

また、2007年にはソクサン小学校の隣りに、貧しい家庭の子どもたちの補習や図書室の充実から地域の大人も利用できる学習センター1棟建設しました。識字率の低かった村の移動図書館への図書(ブックレット)支援93回行いました。

奨学金、通学用自転車

JSCでは教育に力を入れており、奨学金は多様で829件、毎年授業のある10ヵ月支給してきました。家庭の状況により支給する奨学金を決めます。金銭の奨学金は高学年になる程多くなります。

  • ①障がい者、貧困家庭の児童・生徒への奨学金 
  • ②障がい者、貧困家庭の児童・生徒へのお米による奨学金
  • ③学用品(制服、カバン、文房具、教材など)
  • ④通学用自転車 322台 など

貧しい家庭では、小学校高学年になると働き手として学校に通えなくなる子どもたちが多かったため、子どもたちが働かずに学校に通えるように、家庭の状況に応じて、米や学用品一式提供しています。支援を続けることで、現在では、中学、高校に進学して学べる子どもたちが増えています。

また、中学校がない村が多く、中学生になると舗装されていない凸凹道5~10㎞を通学する必要があります。そのため、通学が困難で、自転車が購入できない家庭の子どもたちに中古自転車を提供してきました。延べ322台、中古でも品質の良い日本製です。2022年は通学距離が2~6kmの小学生から高校生に自転車を提供しました。

奨学生には、JSCシソポン事務所のスタッフが定期的に訪問し、学習面(クメール語や数学の)厳しい学力チェックをし、家庭の状況もその都度確認しています。

 

3.車いす支援

車椅子の提供と定期修理

内戦以来、地雷被災者が多く、JSC が現地の道路事情に合うよう設計した「メコン車椅子」(前輪のついた車椅子)168脚を提供しました。地雷被災者が減ってきたため、歩行が困難な病気や障がいのある人々への提供もしています。改造を加えた自転車のような3輪の車椅子も遠くへ通う人に重宝しています。

現在でも、舗装された道路が少ない村での使用は、定期的なメンテナンスが非常に重要になります。JSCスタッフが年に数回点検修理に訪問し、、部品交換を含め、それぞれの障がいに合わせて調整しています。

 

4.子どもの家への支援

Light of Mercy Home 子どもの家

2011年からは、プノンペンにある障がいのある子どもの家へも支援を始めました。視覚障がい、聴覚障がいをはじめ、何らかの障がいがあり、何らかの理由で自宅を離れた子どもたちが暮らす施設です。(⇒詳しくは2011年支援報告2021年支援報告へ)

障がいの種類によって各学校に通学する、交通費や教育費に充てられています。
毎年スタディツアーで訪れると、子どもたちが日ごろ練習をしているダンスや音楽の演奏などで大歓迎してくれます。

今後ともご支援のほどよろしくお願い申し上げます。